メロンの特徴・品種・切り方等
メロン(melon)
特徴
メロンは、バラ類ウリ科キュウリ属の、一年生草本植物の果実です。
メロン栽培の歴史は大変長く、紀元前2000年頃と推定されています。
原産地は、北アフリカ、ヨーロッパなど様々な説がありますが、
最近の遺伝子研究から、インドと裏付けられました。
日本に伝わってきたのは、明治時代です。
球形をしているものが一般的で、こん棒やラグビーボールの形、さらには
蛇のような細長いものまで、様々な姿の品種があります。
表皮は白色、黄色や緑色をしていますが、それらの混合色のものもあります。
また、イボや深い溝などデコボコしている品種など様々です。
アミメロン(網目が生じるもの)とアミナシメロン(網目が生じないもの)に分類されるのも、メロンの特徴です。
旬の時期
メロンは、温室、ハウス、露地の3タイプの栽培方法で生産されます。
有名なマスクメロンなどの温室栽培は、一年を通して収穫・出荷されるため、
旬を特定することはありません。
それ以外の露地栽培については、4月頃に九州産からスタートし、5月頃には関東産、7月頃には東北や北海道産へ、春から夏にかけて収穫されます
つまりメロンの旬は日本を横断していきます。
地方によって様々な品種が収穫されますので、特に初夏の5月~7月は
美味しいメロンの味を存分に楽しめます。
主な産地
有名な産地と言えば、茨城、北海道、熊本で、国内メロン生産の半数以上を占めます。
特に茨城は、昼夜の寒暖差と土壌がメロン栽培に最適であることから、
国内生産量ナンバーワンです。
その他、山形、静岡、愛知などでも美味しいメロンが栽培されます。
品種と特徴
「果実の王さま」と呼ばれるメロン。“メロン=高級”というイメージがありますね。
また、贈答品としても利用されます。
一口にメロンといっても、沢山の品種があり、果肉色が3タイプに分類されます。
また、冒頭の特徴で挙げた表面の網目に関して、ネット系とノーネット系があります。
果肉色は以下の3つです。
① 赤肉種(橙色系)
② 青肉種(黄緑色系)
③ 白肉種(乳白色系)
①と②は、表皮の網目のある“ネット系”で、③は網目のない“ノーネット系”として
分類されます。
それぞれのタイプ別に分けて、人気の品種をご紹介します。
① 赤肉種・ネット系
・夕張メロン
名前の通り、北海道夕張市が生産地です。雄の“スパイシー・カンタロープ”と
雌の“アールス・フェボリットの交配により、生まれた品種です。
北海道の気候の厳しさの中にも、試行錯誤によって今の美味しい夕張メロンの誕生となりました。
別名:夕張キングメロンと呼ばれるだけあって、農協の厳しい検査基準により、品質管理は徹底されています。
大玉で、果皮にはきれいな網目(ネット)が繊細にビッシリと入っています。
果肉は赤みがある橙色で、柔らかくてジューシーです。
糖度はさほど高くないものの、甘みはしっかりと感じられ、とろけるような食感です。
収穫時期は、5月~9月です。
・クインシーメロン
茨城県産が一番多く、国内生産の5割以上を占めます。次いで熊本、山形、千葉などで
生産されます。
“ボレロ*アールス夏系7号”と“スーパーラチブ”に、“新豊玉*ふかみどり”の交配で生まれた品種です。平成元年に発表されました。
果皮はグレイ系の緑色で、細かいネットがメロン全体を覆っています。
果肉は緻密なオレンジ色で、糖度は高めです。果汁たっぷりで口当たりも良いです。
日持ちもよく、味も安定しているため、赤肉メロンの代表とも言われています。
収穫時期は5月~8月です。
・レノンメロン
茨城(水戸市)、青森、熊本などで栽培されています。
タキイ種苗が育成した品種で、平成17年に公開されました。
低温環境でもツルや肥大生がすぐれ、着色も安定していることから、早まきにも適しているというのが特徴です。
表面は、太くて均一なネットで覆われています。肉厚で、表皮近くまできれいなオレンジ色をしているため、可食部が多いのも嬉しいです。
食感はしっかりとしていますが、ジューシーで甘みも強いです。
収穫時期は、6月~8月
赤肉種の他の品種もご紹介します。
オレンジハート、ルピアレッド、マリアージュ、鶴姫レッド、サンセットメロン、
スイートルビー、マルセイユ・メロン、タカミレッド 等
② 青肉種・ネット系
・アールスメロン(マスクメロン)
日本で最初に普及した品種で、高級メロンの代名詞と言えば、マスクメロンです。
1玉3万円を超えるものもあります。
イギリス生まれの“アールスフェボリット”がマスクメロンの代表品種と言われています。その後の改良によって、アールス系のメロンが作られ、アールスメロンが誕生しました。
よってマスクメロンという名は、正式には品種名ではありません。
ちなみにマスクという意味は、“musk(ムスク)=麝香(じゃこう)”のことで、香りがよいことを表しています。
静岡県を筆頭に、茨城、愛知、高知県で生産されています。静岡県、は温室メロンで栽培するこの品種で有名です。
表皮は、深さのある細かなネット模様が入っています。完熟すると、とても上品な香りが広がり、甘みも抜群です。
また、マスクメロンは追熟が必要な品種です。完熟前に店頭等に並ぶことが多いので、
すぐに頂きたい場合は、注意して選ぶとよいでしょう。
収穫時期は通年です。
・アンデスメロン
“アールスフェボリット*ハネデュー”と“コサック*“リオゴールド”の交配で
生まれた品種です。
有名な種苗会社、サカタのタネの開発により、1977年に発表されました。
ハウス栽培可能であることから、安価で頂ける“大衆メロン”として普及しています。
“作って安心、売って安心、買って安心”というスローガンから、“安心ですメロン“と称し、アンデスメロンという名前になったと言われています。
北海道から九州まで全国生産されています。中でも茨城や山形、熊本の出荷生産が
上位を占めます。
果皮は灰緑色で、細かいネット模様です。青肉種メロンの代表というだけあって、
果肉はキレイな黄緑色。甘みもしっかりと感じられ、果汁もたっぷりでとろける舌触りです。
収穫時期は、4月~8月です。
・タカミメロン
1990年に発表された、ハウスメロンの品種です。
“アムス”、“ロッキーフォード”や“アールス”、また台湾から導入した品種などの交雑により作られました。
茨城県鹿鳴市をはじめとして、熊本や青森、北海道と、栽培地は各地に広がっています。
しかし国内初の生産地は、千葉県(飯岡市)です。
“飯岡貴味メロン”が有名で、同県(銚子市)では、“銚子タカミメロン”で多く生産されています。
青森メロンブランドである“つがりあんメロン”の中に、“アーバンデリシャス”という商品があります。これはタカミメロンが品種となって作られたことで有名です。
また、タカミメロンはタカミレッドという品種で赤肉種のものもあります。
形が特徴的で、円形から楕円形の姿をしています。
表皮を覆うネットは盛り上がりがあまりなく、浅くて細めになっています。
果肉は黄緑色で、たっぷりジューシー、口当たりも滑らかです。
甘みだけでなく、香りも強いです。“タカミを貴味”と記すのも頷けます。
収穫時期は、5月~8月です。
青肉種メロン品種は、他にもいくつかあります。
アールスフェボリット、アールス栄華、オトメメロン、クラリスメロン、
キスミー・メロン、デリシーメロン、肥後グリーン、ペルルメロン等
③ 白肉種・ノーネット系
・ホームランメロン
熊本生まれのメロンで、全国一位を誇っています。
しかしこの品種は全国各地で生産されており、特に長崎や三重、愛知からの出荷が大きな割合を占めています。
白肉ハニーデューメロン(果肉が硬い分、日持ちする)と緑肉ハニーデューメロン(ベト病等に強く、厚みのある柔らかい果肉)の交配により作られた品種です。
昭和時代の人気スポーツ“野球”のホームランから名づけられました。
(現在、その名は登録満了となりましたが、今でもそのまま呼ばれています。)
1玉1㎏~1.4㎏のやや小玉サイズで、片手でも持てる大きさです。
表皮はノーネットでツルっとしており、乳白色またはクリーム色系です。
歯ざわりはシャキシャキとしていますが、完熟頃にはとても柔らかくなります。
果肉もハチミツ色に変化します。
収穫時期:4月~7月
・ハニーデューメロン
メキシコ産やアメリカ産など輸入メロンです。
ハニー(honey)は“蜂蜜”、デュー(dew)は“露”や“しずく”を表し、蜂蜜のようにとろけ、甘くてジューシーという意味から名づけられました。
この品種も白肉腫ノーネットの代表として、日本国内でも人気です。
果肉は薄めのオレンジ色のものと、黄緑色のものの2種類あります。
どちらも程よい甘さがあり、後味がさっぱりしているのが特徴です。
追熟するにつれて、サクサクとした食感からなめらかな舌触りになります。
輸入時期は、メキシコ産は秋~初夏。アメリカ産は夏から初秋です。
・プリンスメロン
西洋種の“シャランテ”とマクワウリの“ニューメロン”の交配育成により誕生した品種で、サカタのタネが開発しました。
1962年に発表されたこの品種は、“大衆向きのメロン”として、かつてはメロン市場シェア一位を誇っていました。
多種のメロンが出回る昨今においても、人気は不動です。
北海道から九州まで、全国で生産されていましたが、現在では熊本県が主な産地となっています。その他の地域では、山形、福井、北海道(三笠市)や茨城もプリンスメロンの産地として知られています。
サイズは500g~700gと大変小ぶりです。果肉は黄緑色ですが、種に近くなる部分は淡い橙色をしています。甘みは大変強く、果汁もたっぷりですが、メロン独特の香りをあまり感じません。
収穫時期は4月~6月です。
その他の白肉種メロンもご紹介します。
キンショーメロン、パパイヤメロン、イエローキング、エリザベスメロン等
栄養素
メロンは果汁たっぷりで、水分補給には最適です。
水筒代わりと言われることもありますね。
他の果物と同様、メロンにも様々な栄養や健康を保ってくれる要素が沢山含まれています。
・カリウム
カリウムはバナナに多く含まれますが、実はメロンには、それ以上の含有率があります。
カリウムは塩分(ナトリウム)を排出する働きがあるため、高血圧予防や動脈硬化を防ぐのに大変効果があります。
また、筋肉痙攣を防ぐ役目があると共に、カリウムが不足すると、筋肉の衰えを
引き起こします。
・βカロチン
赤肉種メロンには含有率が高く、抗酸化作用が働くため、がん予防や老化防止に
期待できます。
βカロチンは体内でビタミンAに変換されますので、視力維持、皮膚や粘膜の保護にも一役買ってくれます。
また、肺や喉などの呼吸器系を保護してくれるので、風邪予防にも効果があります。
・タンパク質分解酵素
“ククミシン”というたんぱく質分解酵素が含まれています。
消化吸収を促す役割や、抗血栓作用も充分期待できます。高血圧症状の緩和にも
効果があると言われています。
日持ち期間と保存方法
品種によって、日持ちの日数や保存方法は多少異なります。
一般的に、メロンは収穫してから追熟期間(1~2週間)を経て食べ頃となります。
(購入時は完熟していないものが多いので、常温保存をして食べ頃を待ちましょう。)
この常温での保存方法は、ペーパータオルやふきんの上にメロンを置き、風通しの良い涼しい場所に置いてください。
(メロンは冷やしすぎると、追熟が進まないので冷蔵庫には入れないように注意しましょう。)
メロンの良い香りが漂い、おへそ部分に柔らかさを感じたら完熟食べ頃です。
その後は、常温から冷蔵庫の野菜室に保存するのが一番良いです。
2~3日中には食べ切るようにしてください。
“カットメロン”や完熟メロンの余りを保存する場合には、種を取り除いてラップで密閉し、野菜室または冷蔵室で保存しましょう。
こちらの場合も、数日中には食べ切ることをおすすめします。
メロンの長期保存には、冷凍保存が良いでしょう。
生メロンよりも風味は落ちてしまいますが、また別の味わいを楽しむことができます。
冷凍保存は種と皮を取り、予め食べやすい大きさにカットしておきます。
冷凍保存袋などに密閉状態に入れて、冷凍庫で凍らせます。
この方法だと約3週間は大丈夫です。
食べ方は、常温で半解凍にしてシャーベットやフローズンドリンクなど、デザートとして頂くのがベストです。
一度冷凍したメロンを全解凍しても、果肉が崩れ、生のメロンのような食感を味わうのは難しいでしょう。
選び方
メロンを選ぶ時には、いくつかのポイントがあります。
他の果物とは違い、サイズも大きく、重さもあります。また値段も様々ですので、よく吟味して選びましょう。
以下は、一般的なメロンの選び方です。
1. 大きさや重さを見る
・品種に対して大き過ぎず、または小さ過ぎず。適度なサイズ
・重量感のあるもの(種も少なく、果実が凝縮されていて甘い)
2. 表面の網目(ネット)を見る
・表目の網目がしっかりくっきりと盛り上がっているもの
・網ナシ(ノーネット)のものは、斑点や筋がないもの
3. 形を見る
・左右対称で、バランス(均整)のとれたもの
・メロンのお尻が飛び出ていないもの
その他、メロン特有の甘い香りが強いものも、念頭に置いておくと良いでしょう。
切り方
メロンは大きいだけでなく、皮も硬いので注意して切る必要があります。
贅沢にスプーンですくって食べたり、小さく切ったり、様々な形にカットして頂く方法と色々あります。
以下ではメロンの基本的な切り方をお伝えします。
① ヘタを切り落とす
② 縦に半分に切る
③ 種をスプーンで取り除く
④ 縦に更に2等分に切る
④までで、あとは先割れスプーンなどですくって食べる。
⑤ 皮と果肉の間に包丁をいれて、一口サイズにカットして頂く。
フルーツナイフ、ペティナイフやくり抜き器などを使って、見た目をお洒落にカットする方法が沢山あります。
丸く果実をくり抜いた可愛らしい形や、三角形、細長く切るなどアイディアは無数にあります。
器としてメロンの皮(ネット系の物は特に)をお皿や籠のように切って盛り付ければ、味だけでなく目でもメロンを楽しめます。
1件のコメント
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