チェリモヤの特徴・保存方法等
【特徴】
英語名:cherimoya バンレイシ科バンレイシ属 半落葉小高木
果肉は白く、舌触りがカスタードクリームのようなので、「木になるアイスクリーム」と呼ばれています。ペルー語では「冷たい種子」という語源の名前、アメリカでは「カスタードアップル」と呼ばれています。イギリス人で世界旅行家のマルコム卿は「東インド諸島のマンゴスチン、エクアドルのパイナップル、そしてアンデスのチェリモヤを天然の傑作と称え、世界三大美果」と唱えました。
品種も多く、改良種などもあり、大きさや色、表面のなめらかさなどは様々ありますが、代表的なチェリモヤは直径が10cm~15cmほどで青リンゴをハート形にしたような形をしており、表面にはうろこ状の模様があります。果皮がでこぼことしている品種やなめらかなものなどありますが、未熟な黄緑色のうちに収穫し、追熟して黒っぽくなると食べごろです。
原産地はコロンビア南部、ペルー、エクアドルなどの南米で、日本でもごく少数栽培していますが、出回るものはほとんどが輸入物です。
【時期】
カリフォルニア産のチェリモヤは12月~6月頃
チリ産のチェリモアは6月~11月
日本の和歌山県で栽培しているチェリモヤは10月~12月
【歴史】
アンデス山地のペルーが原産のチェリモヤは、古墳などからチェリモヤの形を模して造られた出土品が多く発見されていることから、有史以前から食されていたといわれています。16世紀ころのスペイン人がアメリカ大陸へ渡り、チェリモヤは世界各地へ紹介されるようになり、カリフォルニア、スペイン、チリ、オーストラリアなどで栽培されています。
【選び方】
果実の形がふっくらとして張りがあり、うろこが大きいものを選びましょう。冷やし過ぎると低温障害を起こすので、冷たいものや傷があるものは避けます。チェリモヤは熟すと果皮に弾力が出て、茶色くなるので、すぐに食さない場合は果皮が黄緑色で張りがあるものを選び、風にあたらないように紙に包んで20~25度の環境で追熟させましょう。
【保存方法】
未熟なチェリモヤは果皮が緑色で香りがなく、果実が硬く、食べるともさもさして甘くないので、表面に弾力が出て、薄茶色くなって甘い香りがしてしっかりと熟してから、短時間冷やして食すようにしましょう。熟してから2~3日はもつので冷蔵庫の野菜室で保存します。完全に熟したチェリモヤを冷凍庫で保存すると多少ながく保存できます。食べる時は凍ったままシャーベットのようにして頂きましょう。大きな種がゴロゴロと入っているので、スプーンですくって種を出しながら食します。
【栄養素】
チェリモヤにはビタミンC、ビタミンB6、葉酸、カリウムなどが豊富に含まれています。時に葉酸が多く、貧血予防に効果的です。またカリウムはバナナと同じ位、含有しています。
【ビタミンC】コラーゲンの働きを助け、美肌に効果があります。風邪の予防、疲労回復にも効果的です。
【ビタミンB6】体内のタンパク質から吸収されたアミノ酸の代謝に関わっています。神経伝達物質を合成する働きがあります。
【葉酸】造血作用があり、欠乏すると貧血になることもあります。
【カリウム】体内に摂りすぎた塩分の排出に作用し、体内の水分バランスを保つ働きをするので、むくみ予防をし、退社を活発にする効果があります。
【薬効】
チェリモヤの種子の中にはアルカノイドが含まれ、毒性があり殺虫剤として利用されることがあります。また、メキシコの原住民はチェリモヤの乾燥させたチェリモヤの種子を粉状にして水や牛乳に混ぜ催吐剤や下剤として利用しました。さらに、チェリモヤの果皮を煎じたものが肺に効果があるという説もあります。
【種類】
カリフォルニアやチリでは流通的に大きなチェリモヤなどが品種改良されています。また、西インド諸島にはチェリモヤの近縁種のバンレイシ(釈迦頭)、バンレイシとチェリモアの交雑種のアタモヤなどがあります。
【バンレイシ】見た目がお釈迦さまの頭の形に似ていることからつけられた呼び名です。西インド諸島が原産で果肉は白いクリーム状でシャリシャリとした食感があります。甘みが強いので、シュガーアップルとも呼びます。
【アテモヤ】アメリカや改良された品種で、バンレイシとチェリモヤを合わせた果物です。室温で追熟して食べます。