桃

ころんと丸くてかわいらしいフォルム、華やかなピンク色。
甘く芳醇な香りに、かぶりつけばみずみずしく、とろけるような甘さが口いっぱいに広がる幸せ。
数ある果物の中でも見た目の愛らしさをまとい、食べてその爽やかな甘さに思わず笑顔になる果物、桃。
大好きだという人は多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな魅力的な桃についてもっと知り、いっそう美味しく召し上がるための情報を盛り込んでいきます。

 

特徴

桃

科・属: バラ科 モモ属
和名:モモ(桃)
英名:peach


~桃の歴史~

桃は中国が原産です。
桃の歴史は非常に古くからあり、中国では2500年前から栽培されていました。

日本では縄文時代に長崎県の遺跡から桃核(桃の種子を含む内果皮)が、弥生時代の遺跡からは桃の種が出土しています。

日本に桃が渡った時期ははっきりとした文献がありませんが、日本最古の書物「古事記」に、桃の実についての記載があります。

桃の実を雷神に投げつけ、追い払ったとされる内容です。

日本で伝承されてきた昔話「桃太郎」では、桃から生まれた少年が鬼退治をするお話で、桃は邪気を払うものの象徴とされていることがわかります。

桃の木もまた、中国では病魔や厄災を追い払う仙木として扱われてきました。
ひな祭り(桃の節句)で桃の木を飾るのは、そういった意味が込められていたのですね。

平安時代には水菓子(果物)として食べられていましたが、当時は今のように甘みのあるものではなかったようです。

江戸時代には花の鑑賞用として栽培されるようになり、開国後の江戸時代に甘さが特徴の水密桃が輸入されたことで、桃が一般的に食べられるようになったと言われています。

現在、私たちが日本で食べている桃は、この水蜜桃系を日本の気候に合うように品種改良したものがほとんどになります。

明治時代に入り、岡山県の大久保重五郎という人物が桃の栽培に情熱を注ぐ中で、新種の「白桃」を発見しました。1899年のことです。
それが後の岡山県産白桃のルーツとなりました。
白桃はみずみずしく果肉がやわらかいものが多く、日本の桃独自の特徴と言えるでしょう。


旬の時期

桃


桃の木は3月下旬~4月上旬に花をつけますが、桃の実の収穫時期は幅があり、主に【早生(わせ)】【中生(なかて)】【晩生(おくて)】と3つにわけられます。

早生の中でも極早生のものは5月~6月頃に収穫され、晩生のものは9月末頃に収穫されます。

7月~初秋が桃の出荷の最盛期で、多くの品種が食べごろを迎えます。
お中元に桃が贈答されたり、お盆の時期には必ずと言っていいほどお供え物に入っています。
旬の桃を味わえるのはこのシーズンといえるでしょう。

産地

桃

平成30年産の農林水産統計によると、桃は全国で104,400トンの出荷量です。

主な生産地は、山梨県(37,600トン)、福島県(22,500トン)。この2県が半数以上の生産量を誇っています。
次いで長野県(12,100トン)、そのほか、和歌山県や山形県でも栽培が盛んに行われています。

 

桃


20世紀半ばまでは主要な産地は岡山県や和歌山県など西日本の温暖な地域でした。
その後、涼しい地域での栽培も盛んとなり、近年山梨県と福島県でトップの出荷量を誇るようになりました。

品種

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知っておきたい!桃(peach)の完全品種図鑑

品種名 出回る時期 味わいの傾向(図解) 特徴・詳細な解説
あかつき 7月下旬〜8月上旬
甘味
酸味
日本を代表する大人気品種。果肉が緻密でしっかりしており甘みが強い。
清水白桃 7月下旬〜8月上旬
甘味
酸味
「桃の女王」。美しい乳白色で、とろける柔らかさと上品な香りが特徴。
川中島白桃 8月中旬〜下旬
甘味
酸味
晩生種の王様。実が大きく硬めで、しっかりとした歯ごたえが特徴。
白鳳(はくほう) 7月中旬〜下旬
甘味
酸味
果汁が溢れるほど多く、酸味が少ない。日本の桃の代表的品種。
日川白鳳 6月下旬〜7月上旬
甘味
酸味
早生品種の主力。小ぶりだがしっかりと赤く色づき、みずみずしい。
なつっこ 8月上旬〜中旬
甘味
酸味
川中島白桃とあかつきの交配。酸味が少なく、果肉がやや硬めで日持ちする。
黄金桃(おうごんとう) 8月中旬〜下旬
甘味
酸味
鮮やかな黄桃。マンゴーのような強い香りとトロピカルな風味が特徴。
ゆうぞら 8月下旬〜9月上旬
甘味
酸味
白桃系の晩生種。肌が滑らかで美しく、果肉はち密で上品な甘さ。
まどか 8月上旬〜中旬
甘味
酸味
あかつきの大玉系。果肉が非常に硬く、カリカリとした食感を好む人に人気。
みさか白鳳 7月上旬〜中旬
甘味
酸味
山梨県生まれの早生種。色付きが良く、ジュースのように果汁が豊富。
ちよひめ 6月中旬〜下旬
甘味
酸味
極早生品種。夏を先取りして出回り、小玉ながら甘みがしっかりある。
ワッサー 8月上旬〜中旬
甘味
酸味
ネクタリンと白桃の自然交雑種。果肉が黄色くカリカリとした硬い食感。
つきかがみ 8月中旬
甘味
酸味
新品種の黄桃。袋をかけずに育てられ、太陽を浴びてマンゴーのような甘さに。
おかやま夢白桃 8月上旬
甘味
酸味
清水白桃に次ぐ岡山県のエース。果肉が極めて滑らかで高糖度。
一宮水蜜(いちのみやすいみつ) 8月上旬
甘味
酸味
山梨の伝統品種。果肉が柔らかく、昔ながらの桃の香りが強い。

桃

桃は生食用として全国で100以上の品種が栽培され、約12万トンの収穫量があります(2017年)。

桃には実に様々な品種のものが存在し、区分けが厳密に決められているわけではありません。
ですが、系統は大きく3つに分けることができます。

果肉が白い【白桃(はくとう)系】・【白鳳(はくほう)系】と、果肉が黄色の【黄桃(おうとう)系】です。
では、白桃系と白鳳系の違いは何でしょう。

白鳳は、【「白桃」に「橘早生」をかけあわせたもの】で、1933年に命名公表されました。
この白鳳から様々な品種が誕生し、それらを総称し【白鳳系】と呼ばれるようになりました。
ですから、白桃系は白鳳系のルーツといっても過言ではないでしょう。

白鳳系は主に桃のシーズン前半に、白桃系は後半に出てくるようです。
白桃系には固い桃が多いです。
固い桃を知らない人には「あれ?まだ熟していないじゃん」と思われますが、固い桃の方が好きな人は結構います。
福島県では固い桃の方が好きな人が多いかもしれません。
中には白桃系と白鳳系をかけあわせたものもあり、今後も品種改良により様々な品種が登場すると考えられます。

代表的なものをいくつかご紹介します。


~白桃系~

・川中島白桃(かわなかじまはくとう)

桃 川中島
「桃の王様」と呼ばれるほど実が大振りでずっしりとしています。中生種として7~8月頃に収穫できます。お中元や贈答用として見栄えがするため、多くのデパートや専門店で取扱いがあります。

果皮は全体的にしっかりと赤く色づき、産毛がはえています。
白い果肉はやや硬めの触感でしっかりとした甘さを感じ、種の周りは真紅に色づくのが特徴です。
比較的日持ちも良い。

固い桃の代表品種です。

~黄桃系~

・黄金桃(おうごんとう)

桃 黄金桃
果肉が黄色い黄桃の仲間ですが、缶詰の加工用に適した黄桃に比べ、その味わいはまるでマンゴーをかけあわせたようなトロピカルでジューシーな甘さが特徴です。
果皮は収穫まで袋をかけていた場合は黄色く色づき、袋をかけない場合は紅く色づきます。


~その他~


・あかつき

桃 あかつき
「白桃」と「白鳳」をかけ合わせてできた品種。福島県を中心に全国で栽培される大変人気の高い品種です。
1979年に品種登録され各所で栽培されましたが、当時は小ぶりでなかなか大きく育たずにいました。

そんな中、福島県が唯一試行錯誤し、大きな実を実らせることに成功しました。

「あかつき」の名前の由来は、福島県の伝統的な「あかつき祭り」から名づけられたといいます。


果皮は全体に桃色に色づき、熟すと手で綺麗にむけるようになります。

果肉はクリーム色でうっすらと紅が混ざり、適度な歯ごたえとともに、酸味の少ないストレートな桃の甘みを感じることができます。


・ネクタリン

桃 ネクタリン
産毛がなくつるつるとした果皮から、見た目はスモモに近いですが、桃の一種とされています。
しっかりした果肉で、身崩れがしにくく酸味が感じられる甘酸っぱい味わい。
中央アジアのトルキスタン地方で誕生し、日本に渡ってきたのは明治時代のようです。
主要産地は長野で、福島県や山梨県でも生産されています。


・蟠桃(ばんとう)

桃 蟠桃
扁平な形が特徴的な品種。サターンピーチやドーナッツピーチなどとも呼ばれ、そのユニークな形ゆえ一度見たら忘れられないインパクトを持っています。

中国では古くから不老不死の仙果として扱われ、孫悟空と猪八戒が食べた桃と伝えられています。


こちらの珍しい桃「蟠桃」は、主に福島県で生産されています。

生産量は一般の桃と比べ非常に少なく「幻の桃」と呼ばれていますが、その希少性の高さからあっという間に完売してしまう人気ぶりです。

近年はネットショップなどで販売しているのを目にすることも多くなってきました。
福島県産蟠桃は平たい円盤状で中心部の種は非常に小さく、果肉は白桃と変わらない甘さです。


●参考資料

農林水産省ホームページ「平成30年産作況調査(果樹)」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kazyu/index.html


農林水産省ホームページ「aff(あふ)2019年5・6月号(特集2もも)」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1905_06/spe2_01.html


栄養素



桃にはペクチン、カリウム、ビタミン類、ポリフェノールといった栄養素が含まれています。

・ペクチン
桃の食物繊維に含まれているペクチンには整腸作用があります。善玉菌を増やしたり腸の動きが活発になることで、便秘改善に効果が期待できるでしょう。腸の健康を保つことは、肌の調子を改善することにも役立ちます。

・カリウム
カリウムは体内のナトリウムを排出する働きがあり、高血圧予防として有効。むくみ解消にも効果があります。

・ビタミンC
ビタミンには肌を健康に保ち、老化防止の働きをしてくれる効果があります。

・ポリフェノール
ポリフェノールの一種であるカテキン類が含まれ、がん予防も期待できます。
桃は皮ごと食べることでよりたくさんの栄養を摂れます。ぜひお試しください。


・香りの効果
桃が店頭に並ぶ時期は、甘く華やかないい香りが周辺にただよい、思わず足をとめて深呼吸してしまうほどです。
桃の香りには「ピーチアルデヒド」によるアロマ効果があり、緊張や強迫観念をときほぐし、安らぎを与える作用をもつとされています。

保存方法

桃


桃は果肉がやわらかく大変デリケートです。
できることなら収穫後すぐ食べるのがよいですが、まだ固い場合は紙にそっとくるみ、直射日光の当たらない風通しのよい場所で常温保存します。
そっと指で触れた時に柔らかさを感じ、強い香りがしたら食べ頃です。
早いうちから冷やしてしまうと甘みが損なわれるので、食べる2~3時間前に冷蔵庫の野菜室で冷やして食べるのがおすすめです。


選び方

桃


左右対称にふっくらときれいな丸みを帯び、そっと持ち上げた時に張りと重量感を感じるものがよいでしょう。
全体が鮮やかにムラなく色づいている中に、そばかすのような白い斑点があるかも確認します。これは果点と呼ばれ、太陽の光をいっぱい浴びるとできるもので、甘い桃を見分ける指標になります。
黒ずんでいたり、傷やあたって茶色く変色しているものは避けます。
香りが甘く強くなっていたら食べごろです。

軸周辺の果皮が緑色のものは未熟です。追熟させて食べごろを待ちましょう。

白い桃の場合、きれいなクリーム色のものを選びましょう。
黄色い桃は無袋栽培で果皮が赤くなります。


桃の切り方、おすすめの食べ方

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驚くほどつるんと剥ける「湯むき」プロ技

桃をつぶさずに綺麗に剥きたいなら、湯むきがおすすめです!

  1. 桃のお尻に浅く十字の切れ込みを入れる。
  2. 沸騰したお湯に丸ごと10秒〜20秒そっと入れる。
  3. すぐにたっぷりの氷水に浸け、急激に冷やす。
  4. 切れ込みからスッと気持ちよく皮が剥けます!

※ちなみに皮と実の間に一番甘みが詰まっているため、産毛を洗って皮ごと食べるのも通の食べ方です。

             

桃


なんといっても、冷やして丸ごとかぶりつくのが一番です。

桃は水分が多く大変デリケートなので、カットする場合は少々テクニックが必要です。


~桃を上手にカットする方法~


切れ味のよい小さめのペティナイフを用意しましょう。
桃をつぶさないよう、手のひらでそっと包み込むようにして持ちます。

1)中央のくぼんだところ(縫合線)に、種に沿うように包丁をぐるりと入れます。
2)手のひらで包み、切り込みに沿ってそっとひねると実がふたつに割れます。
3)種を取り除きます。種に沿って包丁の先で少しずつ上下に動かすと、実からはがれていきます。
4)半身を皮がついたまま4~6等分します。
5)等分したものを皮を下にして置き、包丁を寝かせた状態で皮と実の間にすべらせ、皮をむきます。

指の跡がつくと茶色く変色してしまうため、実をひねるときはダメージを与えないよう、少しずつ動かすのがポイントです。

桃


カットした桃はヨーグルトにのせても美味しいですね。

桃をたくさんいただいたりして、美味しいうちに食べきれないという心配がある場合は、加熱してコンポートにするのもおすすめです。
日持ちしますし、冷凍して保存も可能です。

また、氷と一緒にミキサーにかければ、とろっとしたスムージーができあがりです。
さっぱりとした甘さが夏の暑さを和らげてくれます。

上級編として、桃とモッツアレラチーズを合わせる「桃モッツアレラ」が美味しいおつまみになると話題になりました。
オリーブオイルや白ワインビネガーをふりかけていただきます。
組み合わせにびっくりするかもしれませんが、食べてみて納得のおいしさです。
さっぱりした甘さの桃はモッツアレラチーズとの相性がよいのですね。
生ハムをプラスして冷製パスタにアレンジするのもおすすめです。

 

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